年金の山に立ち向う人への
ベースキャンプができました
作成責任者 青木久馬 (奈良県社会保険労務士会所属 社会保険労務士) 2000年1月
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20歳の誕生日から20日後の昭和62年4月26日、大阪府下でラグビーの練習試合中に頚椎を損傷し、頭部と右の指先だけが辛うじて麻痺を免れた青年。 浪人だったら問題なく受け取れたはずの障害基礎年金が、学生だったばかりに受給できないでいます。
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大阪市内でボクシングに打ち込んでいた山口県出身の青年。 平成2年11月1日、練習中に顔面を強打され、硬膜下出血で未だに意識が戻りません。 父親が、地元自治体の求めに応じて、国民年金保険料をさかのぼって全額支払ったのに、障害基礎年金は受け取れないままです。 |
女子大を出て商社に勤めていた女性。OL生活にあき足らず教職に転じた矢先の昭和63年5月、慢性関節リウマチに侵され、今は車椅子生活に。 障害基礎年金の受給権は、2年前に辛うじて手にすることができたのですが、それは発病から10年後のこと。 もし障害年金のことを知っていたら、これまでに数百万円の年金が支払われていたはず。
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平成10年11月、夫が筋萎縮性側索硬化症で死亡したため、遺族厚生年金受給の手続に東京都下の社会保険事務所を訪れた未亡人。 年金額は80万円余りになるはずだったのに、危うく、わずか1万8千円ほどの年金額に決定されそうになりました。 原因は、社会保険事務所の職員が、遺族厚生年金には二通りあることを知らなかったためらしい。 |
上の事例のうち、山口県の青年の事案以外は、3件とも私が直接に関わったもので、原因はそれぞれ異なるものの、他ならぬこの国の年金制度のもとで、現実に起った出来事です。
残念ながら今の日本には、同じようなことが、あなたやあなたの周りの人々に起らないという保障はありません。(20歳以上の学生については、国民年金が強制加入になりましたから、確かに建前では学生の無年金障害者は生まれないはずなのですが、本質的な部分では大きく変わっていません。)
日本の老齢年金が、老後の生活保障に役立っているのは確かだとしても、年金だけで老後の生活を支えるのはとてもむずかしい、という人々が多数おられるのも亦事実です。
そして又、年金は老齢年金だけではない(障害年金と遺族年金とがあります。)のですが、このことが世間にはよく知られていません。
中でも障害年金については、知っている人がほとんどいないばかりか、老齢年金に比べて格段に難しい条件をクリアーしないと手に入らないようになっています。
老齢も一種の障害の状態だと言った人がいます。だとすれば、老齢年金と障害年金とを差別するいわれはないのです。
私は、このような年金でさまざま困っておられる皆さんからのご相談を受けたり、ご意見を伺ったりしながら、それらの悩みにできるだけお応えし、そして、この国の年金制度をどうしたらよいのだろうか、などについて共に考えてみたくて、このホームページを作りました。
どんなことであろうと、何かしらの年金の山を征服したいとお思いの皆さん、どうぞ、一度このキャンプをのぞいてみてください。あなたのご希望に従ってルートもお示ししましょう、アイゼンもザイルもお貸ししましょう、必要があれば、頂上アタックのお供もします。
しかしながら、このベースキャンプに常駐しているのは、只今のところ私一人だけですので、多少の不安がないこともありません。心ある方々から応援やご批判をいただけることを、心からお待ちしております。
当面は、充実したページを作ることは難しいでしょうが、ゆくゆくは、年金についてより多面的に、できるだけ多くの情報、さまざまな論点を提供させていただけるように努めます(たとえば厚生年金保険の将来、外国の年金事情など)。
さしあたり、大多数の人々に知られていない「障害年金」と、国民皆年金とは名ばかりの「国民年金」制度全般という、二つの問題について、さまざまな角度から取り上げます。
皆さんから、多数のご意見が寄せられることを期待しております。
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