注目テーマの報告、資料、発言など 新規

小泉内閣タウンミーティング・イン奈良に参加して

「小泉内閣タウンミーティング・イン奈良」が7月7日(土)午後、奈良県
社会福祉総合センター(橿原市)にて関西では初めて開催され、参加しました。
注目したい議論と私の感想をお伝えします。
 出席閣僚:中谷元防衛長官、竹中平蔵経済財政政策担当大臣、
      松田岩夫経済産業副大臣、泉信也国土交通副大臣
 コーディネーター:音田昌子(読売新聞編集委員、県民)
 パネラー:県民6名(男3名、女3名)
 参加者:350名(申し込み約926名から抽選)、発言者10名

☆竹中経済担当大臣から、6月26日に閣議決定された「今後の経済財政運営
 及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)の意義について、
 発言があった。
 日本経済は、大きな実力を持ちながら、リハビリ(構造改革)を怠ってきた
 ために足腰が思うように動かなくなった。今後2〜3年間は集中して
 リハビリ(構造改革)に励む必要がある。リハビリには痛みがつきもので
 あるが、これをサボるといよいよ足腰が動かなくなる。(一部は資料から)
 骨太の方針の7つの改革は、日本の仕組みを根本的に変えることによる
 日本経済のリハビリメニューである。

☆中谷防衛長官から、防衛と有事法制について発言があった。会場内での
 「有事法制反対」横幕とヤジに対して、国は皆が力を合わせ、ルールを
 決めて、税を徴収し、国を守ることが基本だ。国民を守るために自衛隊、
 警察、消防などがある。世界の潮流から考えて、集団的自衛権については
 憲法で規定された個別自衛権での制約があり、この点を踏まえて国会で
 十分な議論をしてゆくので理解して欲しい。

☆パネラー6名は、主催者の内閣府によってあらかじめ用意されており、
 内閣の意向に添った発言がほとんどで、実に物足りなかった。
  奈良県は道路整備が遅れており、まだまだ道路建設が必要
  都市の再生より、森林の再生や林業の振興を望む
  地方の自立と税財源の移譲、納税者への情報公開や説明責任が必要
  バランスの取れた教育と学校・家庭の連携が大切
  優秀な公務員が活躍できるように、政治をよくすることが必要
  学校・家庭で学べないことをボランティアなど社会活動で

☆会場参加者10名からの発言の方が、むしろ興味深かった。
  コンビニエンスストアーでも簡単に証券投資ができるようにしては
  消費喚起のため相続税の前納と減税をセットで考えては
  国・地方の特殊法人の見直しを徹底して
  3000自治体では地方分権はできないのでは
  石油公団廃止のように各論でやらずに総論でやり、事業評価が必要では
  木材のランク付けをやり、もっと国産材を使うようにしては
  有事法制化反対(参加者のヤジで会場騒然となる)
  選挙区で落選し比例区で当選はおかしい、国会議員が多すぎるのでは
  国会議員、公務員、報道の倫理が低下しているのでは
  集団的自衛権に異議あり
  (私も最前列で発言を求めましが、指名されずに残念でした)

★物々しい会場警備が行われた。ある程度の警備は覚悟していたが、想像を
 はるかに越えた。ロビーで 30分待機、入場するのにまた30分かかった。
 手荷物は原則として会場内に持ち込み禁止されてクロークで預かり、金属
 探知器をくぐってようやく入場するありさまであった。
 会場内もSP(要人警護私服警官)があふれ、スタッフの総勢は150〜200
 名もいたのではないだろうか。
 竹中経済相によると、「タウンミーティング」や「小泉メールマガジン」は、
 教え子の発想だというが、学生たちはどう思いはどうだろうか。

★新世紀維新の構造改革について、会場内でアナライザー(分析装置、先着
 300名対象)でアンケート調査が行われた。
 大きな項目のアンケート             100%
  1.経済・財政の構造改革              57〃
  2.行政の構造改革                 22〃※
  3.社会の構造改革                 19〃
  4.その他 異論、反論等               2〃

 テーマ・分野別のアンケート
  1.経済・財政の構造改革            100%
   (1)不良債権処理                40〃
   (2)経済社会全般にわたる規制改革        20〃
   (3)証券市場の活性化のための制度改革       7〃
   (4)IT革命の推進                 4〃
   (5)科学技術創造立国(戦略的な研究開発投資等)  3〃
   (6)都市再生と土地流動化             4〃
   (7)財政構造改革                11〃※
   (8)その他                    2〃

  2.行政の構造改革                100%
   (1)特殊法人の見直し              50〃
   (2)郵政3事業の見直し              6〃
   (3)地方分権の推進、国と地方の役割の見直し   19〃※
   (4)公務員制度の改革               8〃
   (5)行政の透明性確保(情報公開、政策評価等)  12〃
   (6)司法制度改革                 4〃
   (7)その他                    1〃

  3.社会の構造改革                100%
   (1)教育改革                  35〃
   (2)社会保障制度改革              26〃※
   (3)男女共同参画への取組             6〃
   (4)環境問題への取組              13〃
   (5)農林水産分野の構造改革            4〃
   (6)バリアフリー社会               2〃
   (7)安全な国作り(凶悪犯罪対策、入国管理等)  14〃
   (8)防災対策                   0〃
   (9)その他                    0〃

 9つのテーマ・分野の全体アンケート       100%
   1不良債権処理                30〃
   2特殊法人の見直し              16〃
   3教育改革                  14〃
   4経済社会全般にわたる規制改革        11〃
   4財政構造改革                11〃
   6地方分権の推進、国と地方の役割の見直し    6〃※
   6社会保障制度改革               6〃
   8安全な国作り(凶悪犯罪対策、入国管理等)   4〃
   9行政の透明性確保(情報公開、政策評価等)   2〃
 
 (注釈)※印は私が投票した回答であり、これまでの総理府の全体の
     アンケート調査では1位:教育改革、2位:不良債権処理、
     3位:特殊法人の見直しとなっている。

★印象に残った発言として、竹中経済相の話しを紹介したい。
 教えの一つに“稼ぎ”と“務め”というのがある。“稼ぎ”とは収入をえる
 ことであり、“務め”とは役割を果たすことである。
 日本は、これまで“稼ぎ”に一生懸命になり、“務め”を軽るんじてきた。
 ところがここへ来て、“稼ぎ”までが悪くなってきた。
 それは、教育水準が低いからであり、ハーバート大学の水準を当てはめれば、
 東大の4分の3は間違いなく落第する。アメリカの教育費は、日本の3倍で
 ある。
 道路建設もよいが、もっと教育に投資しなければならない。
 そのために無駄な投資は、削ることが必要である。
 骨太の方針は、そうしたパッケージで政策を提起している。

★骨太の方針から上牧町の行財政改革の方向を考えると、どうなるのか。
 国と地方のから骨太の方針をみると、地方交付税(地方の一般財源)、
 補助金(地方の特定財源)、公共事業の見直しが挙げられている。
 上牧町にとっても大きな影響が予想され、全国町村会も懸念を表明している。
 タウンミーティングでも話題になったが、よく聞いてみると単なる削減
 ではなく、狙いは必要な事業と不必要な事業の見直しにあることが分かる。
 したがって、上牧町の行財政改革の一つの方向は、住民から見た事業の
 満足度と優先順位がどうか、事前の事業評価が大切なのである。
 言い換えたら、住民の要望関係なく、借金(地方債)が認められるから事業
 をやるこれまでの手法は、もう通用しない。
 この点は、杉田町政の13年度肉付け予算審査でも指摘した通りである。
 やはり、「上牧町の行財政改革を急げ!」である。

 「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太の方針)は、
 つぎの経済改革諮問会議のホームページで閲覧、ダウンロードすることができます。
   http://www5.cao.go.jp/shimon/index.html


  堀内英樹の議会報告「市民のこえ」ページへ戻る
  
「市民のこえ」ーみんなの広場ー 総合目次へ戻る