国民年金保険料は、なぜ定額なのでしょうか

国民年金保険料は最終的に国庫へ入るわけですが、その扱いは、所得税などの国税と同じです(国民年金法95条)。はっきり言って、保険料はまさに税金です。第二の税です。

なぜならば、国民年金法はいわゆる強行法規で、日本に居住する人全部に、否応なしにかぶさってきますし、保険料を滞納したようなときは、税金と同じように差し押さえ(実際には、ほとんどやりませんが)なども有り得ることから、そのように考えて差し支えありません。

そうだとして、こんなに逆進性の高い税金があるでしょうか。消費税でも逆進性は問題になりましたが、国民年金保険料は、担税能力をまったく考慮しない点で、逆進性以前の、中世の人頭税とまったく変わらない前近代的税制です。

ではなぜ定額徴収方式にしたか。答えは簡単で、もし、定率保険料制にすると、所得のない人から保険料を取るわけには行かない、そして、その保険料を納付しない人にも年金を支払わなければならない、これは困る、ということに尽きます。

しかしそのために、保険料を払えない人たちが続出し、今や、第1号被保険者といわれる人(自営業者など)の3割、約7百万人が保険料を払っていません。

世界の福祉先進国であるスウェーデンでは、保険料はどうなっているのでしょうか。               

 

スウェーデンには、「基本年金」と「補足年金(ATP)」と呼ばれる公的年金があって、前者が日本の国民年金に、後者が厚生年金保険に相当すると考えられます。

スウェーデンの年金でも保険料は徴収しています。しかし、どちらの年金も、保険料を支払うのは事業主と自営業者だけ(保険料率は’97年でそれぞれ5.86%、6.03%)で、仕事を持っていない人はもちろん、一般のサラリーマンも保険料を支払っていません。

世界にはさまざまな年金制度があります。日本の年金制度が最良なわけではありません。もっと広い視野を持って、各国のすぐれた制度を虚心に参考にすべきではないでしょうか。