介護保険に強くなろう


平成12年4月に介護保険が施行され、65歳以上の人(1号被保険者といいます)には介護保険証が交付されました。フジ色の保険証でご覧になった方も多いと思います。しかし、保険証を持っているだけでは実際にヘルパーさんにきてもらったりショートステイに行ったりすること(介護サービスを受けるといいます)はできません。自分の住んでいる町の役場に介護度を決めてもらう必要があるからです。これを要介護認定申請といいます。自分の介護度が決まって初めて介護サービスを受けることができるのです。

 ところで、介護度と言う言葉は、介護を受ける側の視点からみたもので、自分の体の動きにくさや病気の程度などを反映したものと考えられます。一方介護を行う立場からみた場合、介護を受ける対象の方がどれだけの介護を必要とするのかということが問題になります。これを要介護度といいます。介護保険ではすべて要介護度となっています。厳密には使い分けが必要なのでしょうが、現場ではまったく同じ意味として混同して使っています。実際問題としてお年よりに説明する時には、介護度のほうがわかりやすいし、公文書以外はそれでいいと思います。

さて、要介護認定申請ですが、これは役場の窓口で行います。本人または家族または介護支援専門員(ケアマネージャーといいます)のみが申請をおこなうことができます。そして町に設けられた介護認定審査会で要介護度を決定し、行政の最高責任者(町の場合は町長)が要介護度を認定します。この一連の流れは特別な事情がない限り、申請があった日から30日以内に行わなければならないと法律で決まっています。このようにして、要支援、要介護1から要介護5までの6段階の介護度が決定されるのです。

介護度が決定されると、古い保険証は回収され新しい保険証が交付されます。そこには、要介護度、保険証の有効期間、支給限度額、居宅介護支援事業所の名称が印刷されています。これらの詳しいことはつぎの機会にお話します。

奈良新聞2001年5月3日掲載