糖尿といわれたら

職場の健診で尿に糖がでているといわれました。

さてどうしましょう。一般的にいって尿にブドウ糖がでてくる場合を糖尿といいますが、その中に腎性糖尿があるのをご存知でしょうか。

食事によって得られた糖分は肝臓で体が利用しやすいブドウ糖に変えられた後、血液にのって全身をまわります。ブドウ糖がたくさん造られたときは、グリコーゲンという形で肝臓に貯めておかれます。食事ができない時などはこのグリコーゲンが分解して血液中にブドウ糖を放出します。このようにして血液の中のブドウ糖は一定に保たれているのです。この流れをコントロールしているのがインスリンというホルモンです。このインスリンが不足して血液中のブドウ糖の濃度があがった状態を糖尿病といいます。

一方血液中のブドウ糖は、腎臓を通る際に、腎臓の中にある糸球体という非常に細かい血管が毛糸のように丸まっているところで、水分と一緒に一度血管の外へでます。その量はだいたい1日200gといわれています。しかしそのすべてが同じ腎臓の中の尿細管というところで再び血管の中へとりこまれるため、最終的には尿に糖はでてきません。

しかし糖尿病の人の場合、血液中のブドウ糖が180mg/㎗をこえる状態になると、尿細管ですべてのブドウ糖を吸収しきれなくなって尿に糖がでてきます。

これに対して血液中のブドウ糖の濃度は正常なのに尿細管の働きが悪くて尿に糖がでてくる場合があります。これが腎性糖尿です。

糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が高く、全身の血管に病変をもたらすもので何らかの治療が必要ですが、腎性糖尿の場合は特に治療の必要はないと言われています。糖尿病と腎性糖尿の違いは血液中の血糖値とヘモグロビンA1Cを調べるとわかります。尿糖が陽性であれば病院を受診し、血糖値と糖尿病の程度の指標であるヘモグロビンA1Cを測定してもらうようにしましょう。