「しおりんのリボン」第0話 配役決定
  
  
  
  野々原姫子は男の子みたいにおてんばだけど元気で明るい中学一年生。
  ある日の夜、姫子にそっくりな魔法の国の王女エリカが現れます。エリカが姫子の
 前に現れたのは、王位を継ぐために発明した「魔法のリボン」を自分にそっくりな
 人間の女の子に使ってもらい、魔法の国に役立つアイテムかどうかを判定するため
 でした。
  「魔法のリボン」をもらった姫子は憧れのお姉ちゃんに変身し、すっかり舞い上
 がってしまいます。魔法のリボンの使い方を説明しても上の空。そんな姫子
 をエリカは心配しますが、もう魔法の国に帰らなければいけませんでした。
  その心配は現実のものになりピンチの連続。水晶玉から姫子を見守るエリカは
 はらはらの連続。でもお供のライオンのぬいぐるみ「ポコ太」やひょんなことで
 「魔法のリボン」の秘密を知った同級生の小林大地の助けを借りて、姫子はピンチを
 切り抜けていきます。そして姫子はいつも助けてくれる小林大地にいつしか魅かれて
 いくのでした・・・
  
  「・・・これが『姫ちゃんのリボン』のあらずじだよ」
  「主役の野々原姫子を栞が演じるのね?」
  「うん、主役だなんて夢みたい・・・」
  「まあ姿や格好が1番似てるからかしら?胸とかね」
  「そんなこと言う、お姉ちゃん嫌い」
  「冗談よ。それで他の配役は決まってるの?」
  「誤魔化してない?」
  「そんなことないわ」(なでなで)
  「う〜、頭をなでてくれてもダメ」
  「ほらほら、配役が解らないと話が進まないでしょ」
  「・・・解ったよ、お姉ちゃん。これが配役の一覧だから」
  
  
  主人公         野々原 姫子・・・美坂 栞
  姫子のぬいぐるみ    ポコ太   ・・・ピロシキ
  魔法の国の王女     エリカ   ・・・美坂 香里
  
  姫子の姉        野々原 愛子・・・水瀬 名雪
  姫子の妹        野々原 夢子・・・月宮 あゆ
  姫子の母        野々原 花子・・・水瀬 秋子
  
  姫子の友達       森  愛美 ・・・沢渡 真琴
  姫子の友達       上倉 一子 ・・・川澄 舞
  
  姫子のライバル?    日比野ひかる・・・天野 美汐
  真の姫子のライバル   聖  結花 ・・・倉田 佐祐理
  
  姫子のボーイフレンド? 小林 大地 ・・・相沢 祐一
  大地の友達       高田 哲男 ・・・斎藤 某
  
  
  その他女性キャラ          ・・・手の空いた女性陣で持ち回り
  
  
  その他男性キャラ          ・・・北川 潤
  
  
  ナレーション            ・・・美坂 香里
  
  
  「・・・」
  「どうしたのお姉ちゃん?そんな難しそうな顔して」
  「いろいろ突っ込みたいところがあるんだけど」
  「私に解ることなら答えるよ」
  「・・・まず一つ目、ポコ太役のピロシキって?」
  「いつも真琴さんの頭の上にいる猫さん」
  「セリフがいっぱいあるはずだけど、猫に演技できるの?」
  「それは秋子さんが何とかしてくれます」
  「何とかって・・・」
  「秋子さんが技術協力で全面的にバックアップしてくれるって。魔法を使うシーン
 も『了承』だって・・・」
  「・・・ふぅ、解ったわ。この件は終わり。じゃあ次ね」
  「北川さんのこと?」
  「どうして北川君が出てくるのよ?」
  「気にならないの?」
  「ならないわ。どうせ栞が『相手役は祐一さんじゃなきゃ嫌です〜』とか駄々を
 こねて、北川君に他の役を押し付けちゃったんでしょ?」
  「ど、どうして知ってるの?」
  「栞の言うことなんて、簡単に想像付くわよ。でもどうしてその他男性キャラなの
 かしら?」
  「北川さん、進んでその他男性キャラを引き受けたよ。斎藤さんに高田哲男役を
 譲って」
  「・・・何か引っ掛かるけど、この話はおしまいにしましょ。それより天野さんの
 ことが気になるから」
  「美汐さん?何か問題あるんですか」
  「あゆちゃんとか川澄先輩も無理があると思うけど、一番のミスキャストは天野
 さんじゃない」
  「そうかな?この役はおばさん声だし、髪形も似てるからぴったりと思うのに」
  「あのね、髪形はともかく、天野さんの声はおばさん声じゃないわよ。ただおば
 さんクサイって相沢君に言われてるだけじゃない。それに一番の問題はこの役と天野
 さんの性格が全く正反対ってことよ」
  「そこは演技でカバー・・・」
  「出来ると思う?」
  「ちょっと難しいかも・・・」
  「こういうところに目を配るのも主役の役目だと思うけど?」
  「・・・私が主役って浮かれてたよ。天野さんのことに気がつかないなんて」
  「栞、大丈夫よ。今からでも変更を頼んでみましょ」
  「・・・その必要はありません」
  「美汐さん!」
  「天野さん、いつの間に・・・」
  「美坂先輩が私のことを話題にしたときからです」
  「あの、えっと」
  「栞さん・・・おばさん声だなんて、そんな酷なことはないでしょう」
  「・・・ごめんなさい」
  「あたしからも謝るわ。この子、主役だからって浮かれてただけなのよ。ほんとに
 そんなこと思ってるわけじゃないから」
  「そのことについてはもういいです。それより役についてですが」
  「ほんとに日比野ひかる役でいいの?栞に遠慮することは無いわよ」
  「心遣いありがとうございます。でも今回の役は好機と思ってますから」
  「好機って?美汐さん・・・」
  「ええ、好機だと。・・・ではこれから役作りをしますので失礼します。」
  「・・・」
  「・・・栞、天野さんはほんとにライバルになりそうね。倉田先輩が一番の
  ライバルかと思ってたけど」
  「・・・」
  「栞?」
  「燃えてきたよ。天野さん・・・祐一さんは絶対渡さないんだから。私も負けずに
 役作りをしなくちゃ」
  「燃えてるところ悪いんだけど、まだ肝心な話が済んでないの」
  「え、まだ問題があるの?」
  「ええ1番の問題がね。あたしはナレーション役だって聞いてたんだけど」
  「ちゃんとナレーション役で入ってるよ・・・」
  「そうね、エリカ役と二役になってるわ。どうしてかしら?」
  「えっと、お姉ちゃんなら髪形がばっちりだし、私と姉妹だから、そっくりという
 設定にぴったりだし」
  「背やスタイルは違うけどね・・・正直に言いなさい、無理に頼んだんでしょ?」
  「えぅ〜、だって・・・」
  「だって何?」
  「お姉ちゃん恐いよ・・・」
  「あたしは目立つのが嫌いなの。人が足りないらしいから、ナレーションならいい
 と言ったけどね」
  「だって・・・だって・・・心細かったの・・・佐祐理さんは今にも祐一さんを
 取ってしまいそうな勢いだったし、名雪さんやあゆさんも、私と姉妹の設定なのに
 隙を狙ってるの。真琴さんは『友達なら祐一とラブラブになっても祝福してくれる
 よね』とはっきり宣言して、舞さんも同意したし・・・天野さんまでライバルに
 なったら、私の味方はお姉ちゃんしかいないの!お姉ちゃんが味方してくれなかった
 ら、祐一さん取られちゃうよ!!」
  「栞・・・」
  「でもこれって私のわがままだよね。祐一さんは私の恋人だから、自分で守ら
 なくっちゃ。お姉ちゃんごめんなさい、エリカ役は秋子さんに頼んでみるね」
  「はぁ・・・待ちなさい、栞」
  「何、お姉ちゃん?」
  「エリカって、ほとんど魔法の国で見守るだけだから、あまり力になってあげられ
 ないわよ?それでもいいの?」
  「お姉ちゃん・・・うん、お姉ちゃんが見守ってくれたら勇気100倍だよ!!」
  「そう、じゃあ家に帰ったら特訓よ。せっかくの主役なんだから頑張りなさい」
  「うん!えへへ、お姉ちゃん大好き!!」
  「ちょ、ちょっと、栞、いきなり抱きつかないでよ・・・」
  「おね〜ちゃ〜ん」(スリスリ)
  「もう・・・仕方ないわねぇ」(なでなで)
  
  
  
  第0話 完
  
  
  
  あとがき(02/07/04)
  
漱石    小ネタシリーズ第1弾、「しおりんのリボン」を遂に書いてしまい
     ました。
かおりん  でも「姫ちゃんのリボン」を知ってる人いるのかしら?
漱石    うわっ、かおりん。びっくりした〜
かおりん  そんな驚かなくていいじゃない。
漱石    でも読んでくれてる人はいきなり出てこられたら、驚くと思うよ。
かおりん  それはそうね。じゃあ自己紹介。あたしは小ネタシリーズ第2弾
     「電子妖精 しおりん」に登場予定のしおりんの姉、かおりんよ。
漱石    自己紹介ありがとう。それで「姫ちゃんのリボン」だけど、アニメ化して
     今年で10年になるから、知らない人が多数と思う。
かおりん  それじゃあ、せっかくのキャスティングクロスオーバーの意味がない
     ような気がするけど?
漱石    でも「姫ちゃんのリボン」とKanonキャラでキャスティングクロス
     オーバーを書ける人は少ないから、僕が書いてみようと思って。アニメ史に
     残る名作だから、これを機会に知ってもらいたいしね。
かおりん  でもSSじゃなくて、小ネタで連載するのね?
漱石    うっ、まあ気楽に書けたほうが、連載を続けられると思って・・・
かおりん  まあ、いいわ。せいぜい連載が止まらないように頑張りなさい。
漱石    はい・・・



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