美坂栞 私論

★基本設定
  Kanonで唯一の年下ヒロイン。高校一年生だか病弱で、学校を長期休学中。
  誕生日は2/1でシナリオで重要な意味を持つ。
  美坂香里の妹。栞は香里のことが大好きで憧れている。ただ香里は栞を拒絶して
 おり、香里との関係の修復がシナリオに大きく関わってくる。

★身体
  一番背が低いように思われるが、実はあゆより背が高い。でも胸は一番小さいので
 シナリオでもネタにされる(泣)
  実はKanonキャラで唯一3サイズがバストよりヒップが大きい。といっても小さい
 には変わりないけど(笑)
  ブルー系の瞳、雪ような白い肌を持ち、ボブカットで黒茶系の髪はさらさらしている。

★服装
  白のセーターに赤と黒のキャミソール型のワンピースを重ね着、そしてお姉ちゃん
 からもらったストールを羽織り、靴下は黒のオーバーニーソックス。Kanonのキャラの
 中でも断トツの着こなしだろう。栞のセンスが良いのか、香里のアドバイスがあった
 のか?
  あと触れておかなければならないのは、薬セットから折り畳み傘、果てはスケッチ
 ブック、お絵かき道具まで入る四次元ポケット。栞は普通にポケットに入れてるが
 絶対おかしい(笑)

★性格
  丁寧な言葉遣いをするおとなしめの女の子。でも雪合戦をしたり、祐一に体当たりを
 したりと元気なところも見せ、実は明るい性格とも思われる。
  どんな悪天候でも中庭にやって来たり、辛いのが解ってるのに冬空の下でアイス
 クリームを食べてるところやモグラたたきを特訓して祐一を見返したいといったりする
 のを見ると、結構意地っ張りで頑固なのかも。でも悪いことばかりでもなく、約束を
 必ず守るところは良いほうに出てる。
  年下らしく甘えるのが上手。本人はわがままという自覚がある。ただ肝心なところで
 我慢してるのでわがままという感じは全くなく、むしろ健気という印象が強い。
  あと一週間学校に通ってる間に他のクラスで友達が出来たことから考えると、社交性
 も持っていると考えられる。
  あまり外に出たことがないのが原因か、ちょっと変わったセンスを持っている。
 雪玉に石を入れてもいいか聞いたり、不思議な絵を描いたり、呪われた人形?を
 欲しがったり・・・経験を積んだら直るはずなので、栞に時間をあげて欲しい・・・

★食べ物
  好物はアイスクリーム。特にバニラがお気に入り。冬の野外でも昼食替わりに食べて
 しまうほど。ただ夏まで待てないという悲しい事情がある。
    アイスクリームが好きになったエピソードは、幼いころ香里が熱が下がるからと
 持ってきたというエピソードがドラマCDで触れられている。
  苦手なものは辛い物全般と物凄く範囲が広い。わさびは「見るのも嫌です」からしは
 「名前を聞くのも嫌です」タバスコは「人類の敵です」と栞にしては過激なことを言う
 ので、よほどのトラウマがあると思われる。
  あと思い入れのある食べ物と言えば、弁当があげられる。香里と昼休みに中庭で
 御弁当を食べると約束していたし、祐一のために手作り弁当を一生懸命作っている。
 ただ一生懸命になりすぎて、とても食べきれない量に(笑)

★趣味
  絵を描くことが好き。しかしその腕前は風景画なら異次元で、似顔絵ならほとんど
 子供の落書きという、絶望的な評価である。
  人物画は普段家族を描いているが、みんな逃げるそうだ。モデルになったら注文が
 厳しいうえに、出来上がった絵があれでは仕方ないか。したがって風景画を描くことが
 多くなったのだろう。

★口癖、印象に残る言葉
 「そんなこと言う人、嫌いです」
  栞の口癖の代表格。ちなみに照れ隠しなので本当に嫌いなわけではない。もし本当に
 嫌いになりそうなら、もっとはっきり言ってくれる。

 「えぅ〜」
  頻繁に使われていれば「うぐぅ」「あぅ〜」に匹敵するものになったかと思われるが、
 本編で栞が使ったのは2回のみ。

 「起きないから、奇跡って言うんですよ」
  栞の奇跡観を述べた名台詞の代表。栞のあきらめを表現してるが、鵜呑みにしては
 いけない。「そんなこと言う人、嫌いです」と同様、本心を隠してるのだから。
  ちなみに香里も奇跡観を述べたセリフがあり、奇跡に対する美坂姉妹の想いの違いが
 現れていて興味深い。

★栞シナリオ要約
  食い逃げしたあゆと祐一の感動の再会シーン(笑)に巻き込まれて祐一と運命的な
 出会いをする。祐一とあゆは漫才を展開していて全然ドラマチックではなかったけれど、
 その出会いは栞にとって大きなものだった。
  翌日栞は中庭で昨日出会った祐一に会えるかどうかも解らずに中庭で待つ。幸いにも
 祐一と再会をはたしお互いに自己紹介をすることが出来た。それからは昼休みに中庭で
 祐一と会うことが日課になる。
  あるとき栞は祐一に香里の妹かと聞かれる。栞は認めるが、後に香里が否定した
 ことを聞かされると、何かに耐える表情を見せた後、お姉ちゃんはきっと他のクラスに
 居るというのだった。
  1/15の祝日にも栞は誰もいない学校の中庭で1人たたずむ。誰も来るはずは
 なかったが、奇跡的に祐一がやって来た。そして祐一 の申し出からデートの約束を
 交わす。デート当日、楽しい時間を過ごした後に2回目のデートも約束し、二人の関係
 は進んでいく。
  2回目のデートの翌日、栞は祐一に告白されるが何故か拒絶し、翌日から中庭に
 来なくなってしまう。それでも中庭にいる祐一の側には、栞が妹であることを否定する
 香里が居た。
  香里が学校を休んだ日の夜、祐一は香里に夜の学校に呼びだされる。そして香里の口
 から妹である栞の寿命があと僅かであることを聞かされる。泣き崩れて「あの子なんの
 ために生まれてきたの・・・」とつぶやく香里に祐一はかける言葉がなかった。
  翌日の夜、お気に入りの噴水のある公園に居た栞の前に祐一が現れる。病気のことで
 嘘をついたこと、祐一を好きになってしまったことを謝る栞。そんな栞に好きだと再び
 告白する祐一。栞は1週間の間、普通の女の子として扱ってくれるように頼む。それを
 受け入れた祐一とファーストキスをする栞。その瞬間から普通の女の子としての
 1週間が始まる・・・

★バットエンド
  祐一が1人一学期の始業式を迎える。
  五人のヒロインのバットエンドの中で最高の出来との評価有り。栞との別れまで
 シナリオが同一でバットエンドに一番奇麗に繋がるのが要員か。ハッピーエンドの前に
 一度バットエンドを見ておくのも一考の価値がある。
  栞と香里を仲直りさせなかった場合はもちろん、1週間の期間中に栞への対応を
 誤った場合はたとえ美坂姉妹を仲直りさせてもバットエンド。
  1週間の期間にたどり着くまでにも栞シナリオから離れる選択が多数有り、一番の
 難易度を誇る。
  そもそも舞が登場しただけで栞シナリオが続かなくなるので、1/11の名雪のノート
 は見捨てざるを得ない。それで栞シナリオに行くのは極悪人と言われたりも(泣)

★考察
  栞シナリオの縦糸は祐一との初恋物語で横糸は香里との関係である。
  香里との関係は美坂香里私論の方に譲り、ここでは初恋物語について考えたい。

  初めて栞が学校の中庭に来たときは祐一 に会えるか確証がなく、1/15の祝日に
 いたっては人に会えるかすら怪しかった。これらの行動は無謀としか言い様がない。
  これは栞が祐一 との出会いに運命を感じ、祐一 との間にドラマのような展開を期待
 したと考えられないだろうか?その頃の栞にとって、すがれるものは普通の恋愛では
 なく、ドラマチックな恋愛でしかなかったのだろう。
  その願いは叶えられて祐一から告白されるが、祐一 の「これから、何日経っても、
 何ヶ月経っても、何年経っても・・・」という言葉を聞いた瞬間、今までのドラマが幻
 であることに気付いてしまう。これ以上を続けてもお互いに辛いだけ・・・栞には
 告白を拒絶することしか出来なかった。

  その後夜の噴水のある公園で祐一に再会したのは全くの偶然。栞は謝りたい気持ちを
 押えることが出来ず、全てを話して自分の気持ちを打ち明ける。それに対し祐一も
 栞への変わりない気持ちを伝える。栞が放棄したはずのドラマはまだ続いていたのだ。
  しかし栞は無条件にドラマが続くことを望まなかった。自分でドラマの終わりを設定
 したのだ。それが1週間だけ普通の女の子として扱ってもらうこと。断られればそこで
 ドラマが終わり、受け入れられても1週間でドラマは終わる・・・そうすれば悲しい
 思い出を増やさず、祐一との思い出を作れる・・・でも本当はずっとドラマにすがる
 ことを栞自身が許せないという意味が強い。なぜならもう自分の運命を受け入れている
 のだから。

  ドラマの終わりに・・・栞は祐一と初めて会った夜に手首を切ったことを告白する。
 その時祐一と初めて会ったときのことを思いだして、思いとどまったことが奇跡かも
 しれないと。この出来事が祐一にすがる理由だったのだ。
  そして死にたくないと告げる。1週間を普通の女の子として過ごした意味はこの
 言葉にあると言っても過言ではないだろう。今まで自分の運命を受け入れているだけと
 思われた栞が本当の気持ちを打ち明けたのだから。それは奇跡を受け入れるには必要な
 ことである。ただ、生きたいと言わないところや祐一を好きになってはいけなかったと
 後悔するところ、そしてこんなときにも笑顔のままでいるところに栞の我慢がみえるが。

  エンディングで祐一と再会した栞は今までの想いを打ち明けて泣きだすが、我慢から
 開放されたうれし涙であり、涙を封印して笑っていた場面よりも微笑ましく感動的な
 シーンである。
  そして場面は春、栞が祐一をスケッチしてる場面に移り、あゆの奇跡によって病気が
 直ったことを思わせる栞の発言がある。
  もちろんあゆの奇跡は栞が助かるために必要だったのだが、それだけでは栞が助から
 なかっただろう。栞自身が本当の気持ちを我慢することなく告白すること。それが栞が
 祐一と出会って始まった初恋物語で得た大切な物ではないだろうか。栞は奇跡を否定
 していたが、実際には奇跡をドラマと言い換えてすがっていた。本当の気持ちは
 奇跡を望んでいたに違いない。そんな気持ちを認めることが奇跡を受け入れるために
 必要だったのだ。

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