升田式石田流について
原型となった石田流は江戸時代の盲人棋客石田検校が創案したとされている。しかし石田流は
石田流本組と早石田いずれも石田側が不利になる順が常識化しており、とてもプロが使う戦法では
なかった。
これを本格的な戦法に改良したのが、故升田幸三実力制第四代名人。升田九段(当時)はこの戦法を
升田・大山最後の七番勝負、昭和四十六年の第三十期名人戦で全七局のうち五局も採用したのである。
残念ながら升田九段の名人への返り咲きはならなかったものの大変盛り上がった。わかりやすい戦法
でもあったのでアマチュアでは一時期爆発的な流行となった。
現在升田式石田流はプロの世界で指されることは全くと言っていいほどない。やはり不利になる手順
ばかり研究されたためだが、それでこの戦法の価値がなくなるわけではない。さまざまな工夫で
まだまだ通用する戦法だと信じている。早石田とは違い奥の深い戦法なのだから。
特徴を一言でいうと、自分から動く急戦の将棋。相手もあまり玉を固める時間はないので居飛車穴熊
はまず出来ないのだ。
したがって時間の短い将棋には最適。攻め好きの振り飛車党にはたまらない魅力である。あと短期
決戦の場合は金星をあげやすい。長手順になるほど実力差が出てくるので、実力を出される前に仕事を
終わらそうという考え。反対に取りこぼす可能性も出てくるのだが。まあ三振かホームランかという
こと。
以上升田式石田流について思うところを書いてみた。これで升田式石田流に興味を持っていただけ
ればありがたいのだが。