江戸時代の音の文化をトイレに |
水琴窟、 みなさんご存じですか?
読みは、「すいきんくつ」と読みます。
意味は、江戸時代の庭師により生み出された日本の音文化で、
壷を地中に埋めて、水滴を垂らし、その跳ね返りの音を、壷の中で
反響させて、音を楽しむ物です。
部屋にいるときは、空調を利かせることにより、快適に過ごすことが
できるでしょう。また、夏に向けて窓に風鈴なんかをぶら下げておくと
なんとも心が癒され、暑さもましになりますね。
しかし、トイレに空調を利かせているご家庭は、ほとんどないでしょう。
ホテル、デパート、公共施設のトイレのようには行きません。
常日頃、自分の暮らしている部屋は、快適なのにトイレは、梅雨時期など
とてもうっとうしい場所になります。
壁に、涼しいそうな滝の写真を貼ったり、カレンダーを海の模様に
換えたりする程度で、ちっとも効果はありません。
トイレの小窓に、風鈴を付けても、あまり絵にならないし、場所によって
窓の無いご家庭もあるでしょう。
そこで、前出の水琴窟をトイレで聞くのです。
「トイレの床を掘って、壷を埋めて、水を垂らす・・・」
ではなく、実はすでに水琴窟が付いています。
よーくトイレを見て下さいまし。
気づきましたか?そうです。トイレの給水タンクです!
(非水洗・この仕様でない方、ごめんなさい)
用を済ませ、レバーを回し、そそくさと空調の利いた部屋に戻りたい
気持ちは充分分かりますが、ちょっと待って、給水タンクに水が溜まって
行く様子を眺めてください。溜まり始めは「ジャージャー」とただの水の
音ですが、溜まり終えてくると、水の落ちる量が少なくなり、「ポタ・ポタ」
の状態になります。
この時、耳をすませましょう。なんとも言えないタンクの中で響く水滴の
音が聞こえてくると思います。
本物の水琴窟のようには行きませんが、構造的には良く似ていますので、
それらしく聞こえると思います。
最後の数滴しか楽しむことが出来ませんが、江戸時代の音の文化を
トイレの水洗タンクで、身近に楽しめて、すこし癒されるのです。
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