下山里
この地は、二の丸上山里の下に位置し、西、南側は石垣組に土塀をめぐらせして東方に門を開いていた。
昭和8年、東北側の崖沿い通路が整備され、昭和30年までは下山里展望台として市民に親しまれた。
現在では、この下山里に五輪塔などの仏石が祀られている。これは、姫路城の修築工事の際に石垣の中から出てきたものを集めて、五輪の形に積上げて供養したものである。
姫山には1143年(康治2)称明寺が建立され、この地方を治めた豪族や役人の墓が多くあったといわれている。
その後、城を築く時に寺を麓に移し、その時の墓石など多くの仏石を石垣に組み込んだといわれている。
称明寺は正明寺と改名されて五軒邸に現存する。
また、五輪塔の前にある石燈籠は、東京都谷中の姫路城主酒井家墓地から平成2年に移したものである。
この燈籠は、最後の城主として僅か1年余の在任であったが、名君の誉れ高かった酒井忠邦公を惜しみ、旧姫路藩士等322人が浄財を寄せて、明治13年3月、忠邦公の一周忌に公の墓前に建立したものである。
当会では、毎年春、秋の彼岸と旧盆に正明寺住職を招いて、この仏石ゆかりの人をはじめ、築城にかかわった人や藩主、藩士の供養を営んでいる。