日本史上で「日野城」と呼ばれるこの城は、日野では古くから「中野城」と称しており、鎌倉時代の初期から約４００年間における日野の領主蒲生家６万石の最後の本城であった。
東方音羽山の城山に蒲生家の音羽城があった１５０１年〜１５２３年(文亀大永のころ)に、この地に砦が造られたのがはじめであり、その後蒲生定秀が当主の頃１５３３年(天文２)から３年にかけて本格的に築城され、同時にこの城の西側一帯の荒野に町割りをして日野の城下町を造った。
蒲生定秀のの孫に当たる蒲生氏郷(うじさと)は、この城で１５５６年(弘治２)に生まれた。氏郷は２６歳の１５８２年(天正１０)に本能寺の変で織田信長が憤死した時、安土城にいた信長の妻妾(さいしょう)一族をこの城へ迎え入れ、明智光秀の軍を迎え撃とうとしたことは有名である。
１５８４年(天正１２)豊臣秀吉の命によって蒲生氏郷が伊勢松ヶ島へ国替えとなり、５２年間にわたる中野城と城下町繁栄の歴史は幕を閉じた。
その後、氏郷は松坂城１２万石城主から１５９０年(天正１８)会津黒川城４２万石に移封され、黒川を若松と改め９２万7千石の大名となったが、１５９６年(文禄４)４０歳の若さで京都邸にて病没した。
徳川時代に入って１６０２年(天和６)市橋長政が中野城へ仁正寺(藩１万8千石の陣屋を構え、明治維新までの藩主となった。
昭和44年日野川ダムの造成によって土塁などは壊されが、本丸と堀の一部が残され、現在では涼橋神社と稲荷神社の石垣にその名を留めている。地名は古城(ふるしろ)という。

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