行中の3月12日深夜(13日の1:30ごろ)には、若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えする「お香水」を汲み上げる儀式が行われます。咒師(しゅし)を先頭に練行衆たちの行列が松明と提灯の明かりの中を降りて行かれます。若狭井の前は灯りもない真っ暗闇。この行事から、俗に修二会全体をお水取りと言われてきました。
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修二会の本行を前に、前日の28日夕刻に参籠宿所の前で「大中臣祓(おおなかとみのはらえ)」(天狗寄せとも呼ばれる)が行われます。練行衆全員が宿所前に並び、暗やみの中、咒師(しゅし)が松明の炎の前に座り、祓詞を黙読し、御幣を持ってのお祓が行われます。僧が御幣をもって御祓いをするという一見不思議に思う儀式ではありますが、修二会全般にも見られる神仏習合の儀式のひとつで興味深いものです。
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毎日の食作法は食堂(じきどう)で行われ、練行衆たちは少し食べ残して紙に包んで閼伽井屋(あかいや)の屋根めがけて投げ、鳥獣へ施しをされます。これを生飯投げ(さばなげ)と言います。上に立てかけてあるのは12日の籠松明。
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参籠宿所の前では、参籠経験者「娑婆古練(しゃばこれん)」の出迎えを受け、それぞれの部屋に入られます。
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達陀(だったん)は12、13、14日の後夜に行われる行法で、火天役の堂司が燃えさかる達陀松明を内陣で引き回し最後に礼堂の床へ投げ倒すというすさまじい行(局から見ることは出来ますが撮影禁止)。その松明を作るのも童子たちの重要な仕事。また、これらの素材は各地の講社から寄進されており、この松明用の檜材は伊賀一ノ井から寄進されているもの。
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修二会が満行を迎えた15日、二月堂の入り口で、練行衆が達陀(だったん)の行の時に被られた帽子を参拝者に被せて祈る、達陀帽戴かせが講社の人により行われます。被せてもらった幼児らは健康に育つと言われ多くの人で賑わいます。神妙に手を合わせる子もいれば、はしゃぐ子も、泣き出す子も。
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