「では始めます。」

 そう言うと神棚に、姫子達に、そして刀に対し、計三度礼をして、刀を差します。

「僕の使う剣術は主に三種類です。今回は基本をお見せします。まず一本目。」

 右手で小太刀を抜き、中段に構えます。

「富田流。小太刀など短い刀を用い、動きの速さを武器に戦います。僕の場合は相手に打ち込ませて隙を生じさせ、そこに打ち込む戦い方をします。」

 説明を終えると、中段の位置から、上段、下段の位置に変わり、振り下ろし、切り上げる動作を繰り返します。

 さらに中段の位置に戻り、目にも留まらない突きの連続。

 最後にそれらの動きを早足で移動しながら、こなします。それはまるで風のようです。

 

 

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