浄妙山

平家物語の宇治川の合戦の1場面をとらえた山です。その特徴ある所作を表現するため、御神体は人の形をした自然木を骨組みに使い、上の市来法師の手を浄妙の頭にくさびで固定しています。
胴掛はこの山の異名の由来ともなる珍しいビロード織のものを用いていましたが、現在は長谷川等伯画のものに替えています。
他に重文指定の黒韋縅肩白胴丸(くろかわおどしかたじろどうまる)鎧も所蔵しています。

平家物語から趣向。平等院に逃げ込んだ源氏は、追手を防ぐため宇治橋の橋板を取り外す。
平家方の2万8000の軍勢は先陣が川に落とされ先に進むことができない。ここぞとばかりに源氏方の三井寺僧兵筒井浄妙(つついじょうみょう)が名乗りを上げ、細い橋桁を渡り一番乗りをしようとすると、一来法師(いちらいほうし)がその頭上を飛び越え「悪しう候、浄妙坊」と前に進み出て先陣をとってしまったという。
山に祀る御神体2体は、その瞬間を誇張した形で表現しているのである。

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