鯉山
龍門の滝を登った鯉は龍になるという中国の伝説を基にした立身出世の金言「登龍門」を表している山です。木彫の大きな鯉は左仁五郎作と言われ欄縁やその他の金具類はすべて波涛文に統一されています。この山の一番の自慢は、その全面を飾る16世紀ベルギー・ブリュッセルで製作されたタペストリーで、すべて国の重要文化財に指定されています。

江戸時代、この町の商家の夫婦が10両の金を貯めたが、夫が誤って湖に落としてしまった。
裏長屋の鰥夫(やもめ)が鯉を買い料理すると腹の中から10両が。人のいい鰥夫は家主が金を落としたことを知っているので早速届けたが、その金はもはや私のものではないと家主は受け取らない。言い争いになり、結局訴え出てお裁きを受けることに。役人は2人の清廉さにいたく感激し、このことを後世に伝えるためにその10両で左甚五郎(ひだりじんごろう)に鯉を彫らせて祗園祭の山にしなさい、と決を下したという。
鯉山の由来は「登竜門」の説話から趣向したという以外にも、このような話が伝えられる。

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