黒主山
この山の御神体は大伴黒主です。自然木の杖によりかかりまぶしそうに顔をしかめて桜の花を眺めている姿はどこか微笑ましいものがあります。前掛は「萬暦帝龍王図」錦織で、胴掛は草花胡蝶文の綴錦です。見送は17世紀に中国で作られたものが2種類あり、毎年交替で使用しています。他にも中国明代に作られた旧前掛など優れた懸装品(けそうひん)を持っています。

大伴黒主(おおとものくろぬし)が桜の花を仰ぎ眺めている姿を表し、謡曲『志賀』にちなんだものとされている。大伴黒主は六歌仙の一人として、小野小町との歌争いなどで有名である。古今和歌集の序で貫之が「大伴黒主はそのさまいやし、いはばたき木おへる山人の花のかげにやすめるがごとし」と記しているので、これも構想の根拠となったのかも知れない。
昔の山は雰囲気を盛り上げるため真松(しんまつ)の山籠(やまかご)の他に添山(そえやま)を飾る場合が多かったが、黒主山にはそれが残っていて、桜の木が立てられている。

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