鶏鉾
江戸中期を代表する画家、円山応挙やその流れをくむ四条派の下絵による水引により、その画風が堪能できる鉾です。同時に16世紀ベルギーで製作され、重要文化財の指定を受けた飾毛綴(かざりけつづれ)の秀作見送もあり、和洋の美の出会いが楽しめる鉾といえます。また、幕末の人形ならではの大人びた風貌に鶏を飾った天冠を戴く稚児人形も必見です。

中国古代、堯の時代は天下がよく治まって太平が続き、訴訟用の太鼓(諫鼓【かんこ】)にも用がなくなり苔が生え、鶏が宿ったという『諫鼓』の故事にあやかり、理想の天下を希求して鉾の趣向にしたといわれているが、現在の鉾からその趣向は見いだせない。鉾頭の三角形の中の円形は、鶏卵が諫鼓の中にあるという意味で、鶏鉾の名の象徴になっているともいわれているが、はっきりしたことは不明である。真木の『天王座』は船形で、海上の守護神である住吉明神が祀られている。

祇園祭トップ 山鉾巡行順 10番(太子山へ)